開催にあたってのあいさつ
第5回大会長
宇土 博 (日新製鋼呉製鉄所 産業医)
本年10月12日〜13日にかけて広島県呉市の日新製鋼呉製鉄所において産業保健人間工学会の第5回大会を開催いたします。 第1報では、今回の会場となります日新製鋼について簡単に紹介させていただきます。 日新製鋼は、昭和3年に設立された銑鋼一環メーカーであり、鉄鉄鋼、非鉄金属の製造、加工、販売を主な事業としています。平成8年度の粗鋼生産量は366トンであり国内粗鋼生産量の約4%を占めています。海外から鉱石、コークス、石炭、石灰等の原料を輸入し、主力製品のステンレスの国内販売を中心に行なっています。東京に本社があり、呉、山口の周南、大阪、四国の東予および千葉の市川に製造所を持っています。全社の従業員数は、約6000名です。 呉製鉄所は、呉湾の臨海工業地帯に立地しています。戦前の海軍工廠の砲弾工場の跡地に砲弾の鋼の製造技術を生かして設立されたものです。敷地面積は1,456千uです。焼結、高炉、転炉、熱延ラインを有しており、普通鋼、特殊鋼、ステンレス鋼の鋼板および帯鋼を製造しています。周南、大阪、東予および市川製造所で加工され建材、自動車、電化製品の材料として販売されています。従業員数は2,000であり、協力会社従業員2,700の合わせて4,700名を対象に産業保健活動が行なわれています。 筆者は、呉製鉄所で20年間に渡って産業医活動を行なってきました。その間、課題となった疾病は、初期のCOガス中毒や熱中症のような急性障害から中期の塵肺、難聴、化学物質、アスベスト等な慢性障害を経て現在、腰痛や頚肩腕障害のような作業関連疾患やメンタルヘルスへと推移してきました。とりわけ作業関連疾患の解決は、現在の産業保健上の大きな課題と なっています。このような状況のなかで、人間工学的な手法は、作業関連疾患の予防に有効な手段を提供してくれます。 今回の学会では、日新製鋼(株)における人間工学的な改善事例を俎上に載せてより活発な議論を起こして行きたいと考えています。本学会に関心のある人間工学を研究している方、産業保健に関わる産業医、産業看護職、衛生管理者や安全衛生に携わる方々の多数の御参加をお待ちしています。 (産業保健人間工学会NewsLetter No.1より転載) |